stop-slop|AI特有の不自然な文章癖を排除するLLM用スキル
stop-slopは、AIが生成する文章特有の決まり文句や冗長な構造を検知し、自然で簡潔な表現へと推敲するためのLLM向けシステムプロンプト(スキル)テンプレート群です。
ポイント
- AIの手癖を機械的に検知して削る: 決まり文句・全副詞・受動態・無生物主語など、8つのルールで洗い出す。
- Claudeのスキルとして動く:
SKILL.md1枚+参照ファイル。Claude Code/Projects/APIのシステムプロンプトに載せて使う。 - 直すだけでなく採点する: 直接性・リズム・信頼・人間らしさ・密度の5軸×各10点(50点満点)。35点未満は要修正。
概要・解決する課題
AIが書いた文章には手癖が残る。「結論から言うと」のような前置き、意味のない副詞、誰が主語かをぼかす言い回し。読み手はこれを一目で「AIっぽい」と感じ、文章の信頼度が下がる。
stop-slopは、この癖を具体的なパターンのリストとしてLLMに渡し、検知して削らせるスキル。phrases.md(消すべき語)とstructures.md(避ける構造)に、実際の禁止パターンが列挙されている。
短所も正直に書くと、(1)プロンプトのトークンを消費する、(2)パターンが英語の文体前提で書かれている。日本語にそのまま効くルールと、効かないルールが混在する(後述)。
なぜ注目されているか
「AIが書いた」と伝わること自体が文章の信頼を下げる場面が増えた。何が「AIっぽさ」なのかを暗黙知でなく共有できるリストにし、検知・修正・採点まで一気通貫でLLMに任せられる点が支持されている。
何を消すか(日本語での効き方)
リポジトリに載っている具体パターンの主なもの。英語前提だが、考え方がそのまま日本語に効くものも多い。
- 前置き(throat-clearing): “Here’s the thing” “It turns out”。日本語の「結論から言うと」「実は」にそのまま効く。
- 二項対立: “Not X. It’s Y.”(Xじゃない、Yだ)。「単なるXではなくY」に効く。
- 偽の主語(false agency): 「苦情が修正になる」のように無生物へ人間の動詞を当てる癖。誰がやったかの名指しを避けるためAIが多用する。人間を主語に直す。
- 曖昧な断定: 「重要な課題です」。何が重要かを名指しさせる。日本語ブログ定番の締め「いかがでしたか?」もここで落ちる。
- ただし「副詞は全部消す」「ダッシュ(—)は使わない」など、英語の書き方が前提のルールもある。これは日本語には合わないので外す(後述)。
主なユースケース
- ドキュメント・記事の推敲: Claude Code/Projects で原稿をスキルに通し、手癖を洗い出して直す。
- AI出力の品質ゲート: 生成テキストを5軸で採点し、35点未満を書き直しに回す番人として使う。
始め方(クイックスタート)
- Claude Code: フォルダを置くだけ(マーケットプレイス公開のプラグインではなく、
SKILL.mdを持つ素のスキル)。git clone https://github.com/hardikpandya/stop-slop ~/.claude/skills/stop-slop(プロジェクト限定なら.claude/skills/配下)。 - Claude Projects:
SKILL.mdとreferences/をプロジェクトナレッジにアップロードする。 - API呼び出し:
SKILL.mdをシステムプロンプトに含める(参照ファイルは必要時に読み込ませる)。
使い方は「この文章をstop-slopで推敲して」と頼むだけ。ClaudeがSKILL.mdを読み、必要に応じてreferences/phrases.md・structures.mdを参照して直し、最後に採点する。
日本語向けの公式版は無く、元のphrases.mdも作者個人の英語の”好み”リスト(規格ではない)。日本語で使うなら、上の「何を消すか」で挙げたパターンを種に、Claudeへ「これを基準にreferences/phrases.mdを日本語の手癖へ作り替えて」と頼むのが早い(翻訳ソフトの直訳だと、副詞の全消しやダッシュ禁止など英語の表記前提のルールが空回りする)。
詳細は公式リポジトリを参照。
こんな人におすすめ
- AIの出力が「いかにもAI」と感じ、仕組みで直したい人
- 何が「AIっぽさ」なのかを具体的なリストで把握したいライター/エンジニア
- 英語ドキュメントを簡潔にしたい人(日本語は自分用にルールの作り替えが要る)
実際に試した(日本語で実走)
英語ルールのまま、AIが書いた日本語と、人が手直しした日本語の両方に当ててみた。
- AIの下書きには効く: 例えば「データがクラウドに保管されるため機密情報を扱いにくいという課題がありました」→「クラウド保管なので機密情報は載せにくい」。問題提起の定型と回りくどい受け身が落ちる。
- 良い日本語には過剰発火する: 整った文章に当てると、「正直」「ちゃんと」といった書き手の声や、文を区切る「——」(ダッシュ)まで“癖”として削ろうとする。ルールが英語の手癖前提だから。
向くのは「AIに書かせた下書きの構造をならす」用途で、仕上がった日本語への全文自動適用には向かない。
突き詰めると、stop-slop の価値はルールの中身より「自分の手癖を明文化してスキルにする」という型のほうにある。何を癖とみなすかは言語と書き手で変わるので、日本語で本気でやるなら、これを翻訳するのではなく、下敷きにして自分用のルール集を育てるのが筋だと思う。
その「下敷きにして日本語へ組み直す」を実際にやった派生も出ている。iKora128/stop-ai-slop-jp(Claude Skill・MIT)は、英語版と同じSKILL.md+references/の作りのまま、中身を日本語の手癖へ入れ替えたもの。命題型の大げさな見出し、小さい体験を「真理」「美学」「境地」まで膨らませる癖、不要なカギ括弧や装飾絵文字など、英語版には無い日本語固有の症状を名指ししている(全角ダッシュも”癖”側に置くので、ここは前述どおり書き手の好みと割れる)。診断の軸は同じで「AI臭の正体は書き手の不在」と言い切り、しかも作者自身が README で『この不在だけはスキルでは直せない』と断っている。直すより自分の言葉を紡げ、という一番大事な所を正直に書いているのがいい。
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